Chapter 3. インストール

目次
3.1. ドキュメント
3.2. NetBSD インストール配布物のレイアウト
3.3. インストール
3.4. インストール例

3.1. ドキュメント

NetBSD のドキュメントはたいていマニュアルページのフォーマットで、 技術的な参考文献としては優れた記述ですが、教本としてはふさわしくありません (いうまでもなく NetBSD をインストールするまで 読むことができません。); これがこのガイドが存在する理由です。

註: 実を言うと、ウエブインターフェースを通じてマニュアルページを 読むことができるのですが、これはシステムを勉強するための実用的な 方法だとは思えません...

インストール後に読めるものとして、いくつかの BSD ガイドが /usr/share/doc ディレクトリーにあります。 3つのセクションにまたがっていて、 psd (UNIX Programmer's Supplementary Documents), smm (UNIX System Manager's Manual) および usd (UNIX User's Supplementary Documents). ターミナル上で文章を読むことができ、たとえば:

$ cd /usr/share/doc/smm/09.sendmail
$ nroff -me 09.sendmail/intro.me | more
      
または makefile を使って Postscript 形式にもできます。

HOWTO が不足しているのは否定しがたいことで、 また、この理由のため、それぞれ自分で可読形式にする必要があり; NetBSD リリースにはテキストフォーマットのいくつかのドキュメントがあり、 NetBSD ウェブサイトにはさらなる情報 および FAQ が見つけられます。

オリジナルドキュメント: NetBSD サイトには、一般的なものと機種独特の ドキュメントおよび HOWTO のページがあります。 この情報はよく書かれていて、わかりやすく; たとえば:

  • NetBSD からの DOS/Windows パーティションアクセス法

  • Windows NT ブートローダーからの NetBSD 起動法

  • ...

すべてのバージョンの NetBSD には次のファイルがあります:

INSTALL

インストレーションノートです。. これは一番大事なドキュメントで、注意深く何度も読みましょう。 ; NetBSD システムについての記述、 対応するハードウェアの一覧や、一番注目すべき、インストール指導 について書かれています。

README.first

最初に読むべきです。

release.man

には、インストールする NetBSD リリースの構造が書かれています。 これは man レイアウトのテキストファイルで:エディターを使って読めるようにあらかじめ整形されています。

NetBSD ウェブサイトにも 次のガイドがあります:

NetBSD FAQ

一般的な情報とほかの FAQ の場所案内。

NetBSD/i386 FAQ

NetBSD/i386 に特化した FAQ

Basic NetBSD Networking

ネットワークと PPP 設定のガイド。

3.2. NetBSD インストール配布物のレイアウト

NetBSD インストール のファイル配置は 前述した INSTALL ファイルに書かれています。 例えば、 i386 プラットホーム では、システムバイナリーは i386/binary/sets ディレクトリーにあり、ソースは source/sets ディレクトリーにあります。 source/patches ディレクトリーには、ベースリリースに対するパッチがあり、それは通常、 リリース後に発見されたバグや セキュリティー関連の修正などです。

3.3. インストール

NetBSD のインストールで最初にすることは INSTALL ファイルのリリース情報とインストールノートを読むことで、これが インストール手順の公式な記述です。 次に、インストール元のメディアを決めます。これは次の中から選ぶことができて:

ftp
nfs
CDROM
フロッピー
ファイルシステム
ローカルディレクトリー

3.3.1. キーボード

sysinst はインストール中に キーボードレイアウト の変更ができません: US キーボードを使っていれば良いのですが、 世界の残りの地域ではちょっと不快です、 が、大きな問題ではありません。 CD-ROM からインストールするなら、アルファベットキーだけが必要で (その部分はたいてい同じ配列です。もし違ったら、 他地域向けキーボードでは、いくつかの文字に関して、ほかのキーを押す必要があるでしょう。) 私は、次のリリースからはインストーラーでキー配列の変更ができるように なってほしいと思います;現在は、 次の表にある割り当てを使ってください。

USITDEFR
-'ß)
/--!
=ì'-
:çÖM
;òöm
#£§3
"°Ä%
*((8
())9
)==0
'àäù
`\^@
\ù#`

US キーボードでないキーボードを使う場合、インストール後に 最初にすることは、キーボード配列の 変更でしょう。 それまでは我慢してください。

3.3.2. ジオメトリー

インストーラーは2種類のハードディスクジオメトリーにふれ; それらの意味を理解する必要があります:

real ジオメトリー
BIOS ジオメトリー

real ジオメトリー はシステムが検出したハードディスクの 実際のジオメトリーです。 BIOS ジオメトリー は BIOS に使われるジオメトリーで、 real ジオメトリーと異なることがあります (たとえば BIOS は LBA を使って、ディスクを再配置できます)。

インストール例で使う IDE ハードディスクのジオメトリーは次の通りで:

real:  6232 cyl,   16 heads,  63 sec
BIOS:   779 cyl,  128 heads,  63 sec   (LBA)      

BIOS ジオメトリーは LBA を使って再配置しているのがわかり、 シリンダー数が減ってトラック数が増えています (でも結果は同じで: 6232 * 16 = 779 * 128 = 99712)。 1セクターは 512 バイトで、ということは、ディスクの容量は 6232 * 16 * 63 * 512 = 3 GB です。 NetBSD ではディスクジオメトリーの再配置は必要ありません (実際にそれはしません)。 インストール中に sysinst が出す値が正しい値でなければ、ジオメトリーを手作業で変更することもできます。

3.3.3. パーティション

NetBSD で使われるパーティションに関する専門用語は 代表的な DOS/Windows の専門用語と違い; 実際に、 2種類のパーティション機構があります。 NetBSD は 4つのうちの1つの BIOS パーティション基本領域にインストールします。 (パーティションはハードディスクのパーティションテーブルで定義されています。)

BIOS パーティション ( スライス とも呼びます)中に、 NetBSD は disklabel をつかって、 BSD パーティションを定義し: これらのパーティションは NetBSD だけから見ることができて、英小文字で識別されます( "a") から始まる)。 たとえば、 wd0a は最初の IDE ディスク (wd0) の "a" パーティションを参照し、 sd0a は 最初の SCSI ディスクの "a" パーティションを 参照します。 Figure 3-1 では、2つの BIOSパーティション基本領域があります。 ひとつが DOS で、もうひとつが NetBSD で使われています。 NetBSD では、ディスク配置はディスクラベルに記述しています。

Figure 3-1. パーティション

註: "c" および "d" パーティションの意味は i386 ポート特有のものです。 ほかのポートでは違う慣習があります(たとえば "c" がディスク全体をあらわすなど)。

註: ハードディスクを(上の例のように)ほかの OS と 共有するなら、 ブートマネージャー、つまり、起動時に好きな OS を選択するプログラム、 もインストールしたいことでしょう。 sysinst で自動的にインストールし、ブートマネージャーを 簡単な、でも効果的な設定をしてくれます。

Windows NT が同じハードディスクにインストールされていれば、 NetBSD の起動に NT ブートローダーが使えます。 この方法は NetBSD のウエブサイトに解説されています。

3.3.4. 必要ハードディスク容量

NetBSD をインストールするのに必要な空き容量は、 NetBSD で何をするのかによって変わります。(たとえばサーバーかワークステーションか)。 たとえば、ホームデスクトップシステムに X も使い、 420MB のハードディスク(むしろ現在の標準より少ないです)を 使うと考えると、カーネルソースに、いくつかのアプリケーション(Netscape, ...)に、 swap パーティションに 32 MB... ということで、 df は次の通り:

Filesystem  1K-blocks     Used    Avail Capacity  Mounted on
/dev/wd1a       31887    16848    13444    56%    /
/dev/wd1e      363507   173202   172129    50%    /usr      

残容量が 180 MB だというのがわかります。

3.3.5. 再挑戦

OS のインストールが初めてなら、成功するのはまれで、 NetBSD も例外ではありません。 すべてうまくいってさえ、システムの利用をはじめるとすぐに、 (たとえば)もっと良いパーティションの配置の仕方を 悟るでしょう。 それは、ギブアップしないために必要で; 最初に理解するには難しく、 再挑戦によって経験を積むにしたがって、 また、何回も繰り返し INSTALL ドキュメント を読んでいくと、だんだんと明らかになります

最初のインストールには、 sysinst が推奨する、デフォルト(標準)を使うのが賢明でしょう。 たとえば、ディスクラベルの変更です。 fdisk パーティションのディスク容量の決定だけで 良いのです。

3.4. インストール例

この章の残りの部分では、一般の場合の実際のインストール例を記述し : CD-ROM からのインストールについて。 すべてのタイプのインストール (例: ftp) について同様で; 異なるのは sysinst が、インストールするバイナリーセットを見つける場所だけです。 注意としては、NetBSD のリリースごとに、細かいところがいくつか異なり、 : この例では、 1.5 リリースで作成しています。

指導のため、以下の例では、いつも一番 "難しい" オプションを選んでいます。

この選択の組み合わせでは、インストールが非常に面倒な印象を与え、 作業が多いような感じになります : デフォルト(標準設定)にすると、もっと簡単になることを忘れないでください。 一方、 教本は、 "簡単" な部分しか書いていないものは、 あまり便利ではありません。 (商売の観点からの場合を除いて...)

3.4.1. インストールする物の準備

インストールする前に作業の段階ごとの細かい計画を練るのは 良いことです。 最初に INSTALL ファイルを読み (これを言うのはこれで最後だと誓います)、その中の インストールとハードウェア互換性の部分を読みましょう。 次に、すでにハードディスクに何か入っているなら、 NetBSD を入れる空きがあるのか、作れるのか考えましょう。 ; NetBSD を ほかのオペレーティングシステム とディスクを共有させるなら、 新しいパーティションを作成する必要があり (これは sysinst でします)、 場合によって、すでに存在するパーティションの大きさを 変更する必要があるかもしれません。 sysisnt では、すでに存在するパーティションの大きさを変更することはできませんが、 いくつかの(Partition Magic のような)商用製品や フリーのツール(FIPS, pfdisk) があります。

インストールのロジックは2段階に分かれています。 最初の部分は NetBSD のパーティション作りと そこへのディスクラベルの書き込みです。 2番目の部分はインストールするバイナリーセットを決め、 新しく作られたパーティションにファイルを展開します。 最初の部分はインストール法 (CD-ROM, ftp, NFS, ...) に無関係で、最初の部分の終わりまでハードディスクには 書き込まれず、インストール確認のための確認が出ます。 確認するとインストール作業が進み、そうでなければ、メインメニューに 戻り、ハードディスクは変更されません。

3.4.2. インストールフロッピーの作成

注: NetBSD ブータブル CD-ROM があれば、インストールフロッピーを作る必要はありません: BIOS 設定の "boot from CD-ROM(CD-ROM からの起動)" を enable(有効) にし、 CD を入れ、機械を再起動します。 このオプションはたぶん昔の機械にはありません。

インストール前にインストールフロッピーを作る必要があり、これは、すなわち. CD-ROM のフロッピーイメージをディスケットにコピーすることです この作業は DOS で行うことができて、 i386/installation/misc ディレクトリー の rawrite プログラムが使えます。 イメージファイルは i386/installation/floppy/boot.fs です。

  1. フロッピーをフォーマットします。

  2. CD-ROM のI386\INSTALLATION\FLOPPY ディレクトリーに 行きます。

  3. ..\MISC\RAWRITE プログラムを実行します。 "Source file" に BOOT.FS を "Destination drive" に A: を入力します。

UNIX 環境でブートフロッピーを作るには、 dd コマンドが使えます。 例えば:

# cd i386/installation/floppy
# dd if=boot.fs of=/dev/fd0a bs=36b
      

dd は 512バイトのブロックをコピーし、: オプション bs=36b で一度に 36 ブロックをコピーすることで、効果的に 高速になります。

註: 1440K フロッピーは 1474560 バイトで 80 シリンダー 2 トラック 18 セクターで 1セクター 512 バイトでできています。 すなわち 80 * 2 * 18 = 2880 ブロックです。 したがって、 bs=36b は2880回繰り返す代わりに 一度に 1シリンダー (18 * 2 ブロック) のコピーを80回繰り返します。

3.4.3. Last preparatory steps

インストールするための準備が整いましたが、始める前に、 インストールするパソコンのハードディスクの情報を集めたほうが良いでしょう。

一番重要なのは、ハードディスクの方式 (IDE, SCSI)と、そのジオメトリーの 確認です。 この情報はハードディスクのマニュアルや 診断プログラムでわかります。 ハードディスクのなかには、ドライブに張ってあるラベルにそのデータが書いてあるものもあります。 ほかの選択肢として、ハードディスクメーカーの web サイトに接続して、 製品情報を調べるという手もあります。

ftp もしくは NFS 経由でのインストールするなら、 ネットワークカードの設定も忘れずにチェックしましょう。 : if the インストーラーのカーネルは、ある IRQ になっていることを想定してますが、 カードの設定がそれと違っていると、インストールできないことがあります。 たとえば、インストーラーのカーネルは NE2000 互換ネットワークカードについて、 次の2つの設定のうちの1つを認識できます:

ne0     at isa? port 0x280 irq 9        # NE[12]000 ethernet cards
ne1     at isa? port 0x300 irq 10	
もし、 NE2000 ネットワークカードが異なる設定をされていたら、 検出できません。 (インストール後は customized カーネルを自分の設定でコンパイルできます。)

このときに、ほかのハードウェアの詳細も調べておくと良いでしょう。 たとえば、シリアルポートとパラレルポートの数、等; これは、 インストールには必要ありませんが、あとで、結局便利だとわかります。 INSTALL ファイルに書かれている内容と、機械の 設定 (IRQ, I/O ポート, ...)が 適合するか確かめてください

註: ほかの詳細と同様にハードディスクジオメトリー のことを知らなくてもインストールできます。 この場合、 sysinst が自動的に決定したジオメトリーと (たいてい)それが正しいのを 信じましょう。

3.4.4. インストール開始

新しく作られたインストールフロッピーを A: ドライブに入れ、コンピューターを再起動します (あるいは CD-ROM で再起動します)。フロッピーにあるカーネルが起動し、画面にたくさんの メッセージの表示を始めます。(訳注:昔のバージョンに関しての話)。画面には、ハードウェアに対して、 見つからなかった、あるいは、設定できなかったという表示がたくさん出るかもしれません。 これは正常です。インストーラーフロッピーに入っているカーネルは NetBSD が対応するほとんどすべての ハードウェアーについて、その機械にそのハードウエアーが入っているか検知しようとします。 なので、恐らく(!) その全種類のハードウエアーがそのコンピューターに 取り付けられていないはずだからです。

Figure 3-2. インストール開始

起動 procedure が 終わると、 Figure 3-2 のように、インストーラーのメインメニューが出てきます。 スパルタ式の sysinst の見かけに だまされないでください: それどころか強力で柔軟なプログラムです。 INSTALL ドキュメントを参照しながら、 画面に表示される指示に従ってください。 sysints 画面のレイアウトは大体同じで: 画面上部には、 現在の作業やヘルプメッセージが簡潔に出ていて、; 画面中央には NetBSD が検出した現在の設定が、 ; 画面下部には選択肢が出ています。 インストールオプション ("a") を選ぶと、 次の画面 (Figure 3-3) で、 それを確認します。

Figure 3-3. インストールの確認

オプション "b" で続行することを選ぶと、 NetBSD をインストールするハードディスクの選択になります。 複数のハードディスクがあると、 sysinst はディスク一覧を表示するので、そこから選びます。 この例では、ハードディスクは1台で、インストーラーは通知だけをし、 Figure 3-4 のようになります。

註: この画面の情報はシステムの ハードディスクの方式や 数によって異なります。

Figure 3-4. ハードディスクの選択

次の (Figure 3-5) sysinst は選択したディスクの BIOS ジオメトリーを表示し; それが正しいか 確かめることができ、もし、インストーラーが間違った値を示していたら 手作業で新しい値を入力することができます。

Figure 3-5. BIOS ジオメトリー

3.4.5. パーティション

インストールで一番重要な段階が来ました: ハードディスクの パーティションを切る作業です。 最初に、 NetBSD がディスクの一部を使う(推奨する選択)のか、 または、ディスク全体を使うのか ("危険な" 選択)指定します。 前者の場合でもディスク全体を使うパーティションを作ることができるので (Figure 3-6) 、私の理解が正しいなら、このオプションを選んで BIOS パーティションテーブル を互換性のあるフォーマットのままにしておく ことを薦めます。

この例では、Figure 3-5 の BIOS ジオメトリーと等しい "実際の" ジオメトリーを用います。

6232 cyl, 16 heads, 63 sec  (6232 x 16 x 63 = 6281856 total sectors)
1 sector = 512 bytes
1 track = 63 sectors = 63 * 512 bytes = 32 K
1 cylinder = 16 * 63 * 512 bytes = 504 K      

Figure 3-6. パーティション機構の選択

次のステップは、 Figure 3-7 に書かれている、 ハードディスクのパーティション操作で用いる単位の選択で: セクターを選ぶのが一番柔軟で正確です。 (注として、少なくとも古いハードディスクでは 性能を発揮するためにはパーティションを シリンダー境界にあわせて作るのが良いのです..) メガバイトを選ぶのは、手計算しなくて済み、より "直感的"で便利です。

Figure 3-7. 容量の単位の選択

この手引きでは、セクターを使います。 そのほうが指導効果がより高いからです。 fdisk インターフェース画面で "c" オプションを選びます。

Figure 3-8. fdisk

Figure 3-8 は、 NetBSD をインストールする前のハードディスクのいまの状態です。 ; 4つの基本領域があり、一つが DOS/Windows で使われ、 2つが GNU/Linux で使われ、残り1つが未使用です。 このディスクには空き領域がなく: パーティション 2 の End(sec) column が 6281856 セクターになっていて、 ハードディスクはすべて埋まっています。

註: fdisk 画面では次の公式が 成り立ちます:

Start(sec) + Size(sec) = End(sec)      
この意味は、 パーティションの End(sec) column は、次のパーティションの Start(sec) column と同じということで、これはあまり直感的なことではありません。 パーティションの End(sec) column のセクターは、実際には 次のパーティションに属するからです。 Disklabel では、異なる(より理論的な)習慣を使います。

場所を作るために、2つの Debian GNU/Linux パーティションを 犠牲にする必要があり、最後のからはじめます。 Sysinst は、 存在しているパーティションのデータを表示し、 Figure 3-9 では、パーティション 2 の現在のデータが出ています。

Figure 3-9. パーティション削除中

パーティションの削除には、 "a" オプションで unused を選び、 "b" オプションで "Start" および "Size" 欄を空にします(Enter を押せば空になります)。 おしまいに、 "d" オプションで確認し、 fdisk のメイン画面に戻ると パーティション3 が空になりました。 同様に、パーティション 2 および 1 を消すと、パーティション0だけが残ります (Figure 3-10)。

Figure 3-10. パーティション削除完了

DOS/Windows パーティションだけを残すなら、 2088516 セクターつまり 1029 MB (約 1 GB) が使われています。 空き容量はすでに計算されている全セクター数と DOS パーティションの end セクター ( End(sec) column.の値) の値の差から計算します

6281856 - 2088579 = 4193277 セクター = 2047 MB がディスクの空き      

註: DOS パーティションは 63から始まり、当然のことと考えるような セクター0 からではありません。 これは特別なことではなく、最初のトラック (63 セクター) が予約されているからです。 ハードディスクの シリンダー 0 トラック 0 セクター 1 には Master Boot Record (MBR) がおかれます。 システムが起動すると、 BIOS はハードディスクから MBR をメモリーにロードし、 どのパーティションがアクティブかを検出し、選択にしたがって、 パーティションのブートセクターをメモリーにロードし、そして、ブートセレクターは、 そのパーティションのオペレーティングシステムを開始します。

ここで、 オプション "b" で、 DOS 領域の末尾に続いた場所に NetBSD 用の新しい領域を作ります。 新しいパーティションを作るには、次の情報が必要で:

  • 新しいパーティションのタイプ

  • 新パーティションの開始セクター

  • 新パーティションの (セクター単位の) サイズ

新しいパーティションのタイプには "NetBSD" ( "a: Kind" オプション) にし、オプション "b" で 計算したデータ: start = 2088579 および size = 4193277 を入力します。それらが正しいことを確認して、オプション "d"で作成を承認すると fdisk メインメニューに戻ります。 この結果は Figure 3-11 にあり、パーティションテーブルの最終は位置が表示されています。 ここで、 "x" を選択すると次のメニューに行きます。

Figure 3-11. パーティション作成完了

註: NetBSD 1.5 では、情報は画面に表示されませんが sysinst は未使用パーティションの 開始セクターおよび終了セクターのチェックもします。 よって、画面上はまったく正しく見えても、 プログラムはパーティションが重複していると 警告を出すことがあります。 未使用パーティションの開始セクターおよびサイズは 正しく定義することを薦めます。

パーティション作成でミスをすると (たとえば パーティションが重複した場合)、 sysinst はメッセージを表示して fdisk メニューに戻るように提案します (続けることもできます)。 データが正しくても NetBSD パーティションが BIOS から起動できるセクター範囲外にあると、 sysinst は警告し、これで良いのか訊いてきます。 古い PC でこれは問題になりがちですが: この例で使用している PC は警告が出るものの、 ちゃんと起動できます。 (BIOS 依存なので)一概には言えませんが; PC がとても古くないならば、警告を無視して続けることを薦めます。

註: これは、 NetBSD による制限ではありません; 古い BIOS の中には、 最初の 1024 シリンダー外のパーティションからは起動できないものが あります。 この問題を十分に理解するには BIOS の種類による違いや、 たくさんあるアドレス指定方法を(物理 CHS, 論理 CHS, LBA, ...)勉強する必要があります。 この話題はこのガイドでは触れません。

最近の BIOS のほとんどは、拡張 int13 をサポートするので、 NetBSD のブートセレクターをインストールすれば ハードディスクの頭から 8GB の外にあるパーティションに インストールできます。

データが正しくて、 sysinst がハードディスク上にオペレーティングシステムがあるのを検出すると、 ハードディスクにブートセレクターをインストールしましょうかと 提案してきます。 インストーラーを使って、ブートセレクターのインストールと設定ができ; ブートメニューで表示される各オペレーティングシステム名の 文字列、デフォルトで起動するパーティション、 ユーザーが何も選ばなかったときの選択時間切れの時間を 設定することができます。この画面は Figure 3-12 にあります。

註: カーソルキーが機能しない ときは、 < キーと > キーでメニューオプションをスクロールできます。

Figure 3-12. ブートセレクターの設定

"a" から "d" オプションを使って、ブートマネージャーメニュー で表示されるパーティションとその文字列を決めます。 "Menu entry" column で、 Figure 3-13 のようにブート可能なパーティションごとのエントリーが見られます。

Figure 3-13. ブートセレクター設定

オプション "e" で、ブートメニューのタイムアウト時間を変更できます。 ここで決めた時間の間にユーザーが選択操作をしないと、 デフォルトのパーティション(オプション "f" で決めます)が起動します。 デフォルトには次の中から一つ指定できます:

  • パーティション

  • ほかのハードディスク

  • 最初のアクティブパーティション

ブートマネージャーの前提が終わると、インストールの最初の部分、 すなわち、ディスクのパーティション作成が終わりです。

BIOS パーティションは BSD では スライス とも呼ばれ, いま、2つのスライスが作られ、それは: DOS と NetBSD です。 次に BSD パーティションの定義をしましょう。

3.4.6. ディスクラベル

Figure 3-14 に見られるように BSD パーティションを作るための 3つの選択肢があります。

Figure 3-14. ディスクラベル

初めてのインストールでは、 "a" か "b" を選び sysinst に パーティション方法を決めてもらうことを薦めます。 この例では、 ディスクラベルを手作業で変更することで、 もうちょっと複雑にしましょう(もちろん、教育目的のためだけ)。

註: システムに決めてもらった場合でも、 生成されたディスクラベルは、注意して吟味しましょう。 ディスクの空き領域が足りないと、 1.5 の sysinst は、気を利かせて検出し、警告を出します; 以前のバージョンのインストーラーはでは できず(せず????)に、 黙って無効なパーティションを作ります。

3.4.7. ディスクラベルの作成

最初に、インストーラーにディスクラベルを自動的に作らせます。 Figure 3-14"b" を 選ぶと、 Figure 3-15 に進みます。

Figure 3-15. 標準ディスクラベル

("b" オプションで) とくに作業することなしに、 この設定にしてもかまいませんが、 代わりに、 スワップパーティションのサイズを小さくして、 /usr パーティションを大きくする方法を見ましょう。 スワップパーティションの大きさを変更するには、 "a" オプションを選択し: 次の画面で容量の単位にセクターを選びます。 この結果は Figure 3-16 になります。

Figure 3-16. ディスクラベルの変更 (セクター単位)

パーティション識別名の順番は標準で: いくつかの文字は あらかじめ定義されて予約されています。

  • a は 通常 root パーティションです。

  • bswap パーティションです。

  • c は、 NetBSD スライス全体です。

  • d は、ハードディスク全体です: NetBSD スライスの外に広がっています。 同様の方式で NetBSD スライスの外にある DOS や Linux 領域を、 BSD パーティションを作ることで NetBSD から見られます。

  • e は 最初の自由に決められるパーティションで、 通常 /usr"e" にマウントされます。

註: パーティション id の意味はポート(NetBSD の機種ごとの移植物)ごとによって 異なります。上の記述は、 port-i386 について当てはまります。

普通、 b および c パーティションは変更する必要がないでしょう。 残りのパーティションについてはサイズやマウントポイントの変更や 新しいパーティションの作成は自由です (最大数は 8 で 文字 e から h までです。(訳註: 1.5.1 で 16 に))。

スワップパーティションの変更するには、 bパーティションの変更が必要で、 "b" パーティションの直後から始まっている "e" パーティションの 変更も必要です。 "c" および "d" パーティションは そのまま変更しないでおきます。

今、 150 MB (307200 sectors) のスワップパーティションをつくります; これは、 "b" が セクター 2524032 から始まり、 セクター 2831231 (2524032+307200-1) で終わるということです。

id:      Size    Offset       End FStype Bsize Fsize Mount point
---      ----    ------       --- ------ ----- ----- -----------
 a:    435453   2088579   2524031 4.2BSD  8192  1024 /
 b:    307200   2524032   2831231   swap
 ...      

"e" パーティションに割り当てられる新しい領域は : start = 2831232, size = 3450624 and end = 6281855 になります。 これらの値は次のように計算され: "start" は パーティション "b" の終了セクターの直後から始まり; "end" は NetBSD パーティションの 最終セクターで; "size" は: End - Offset + 1 で決まります。

id:      Size    Offset       End FStype Bsize Fsize Mount point
---      ----    ------       --- ------ ----- ----- -----------
 a:    435453   2088579   2524031 4.2BSD  8192  1024 /
 b:    307200   2524032   2831231   swap
 ...
 e:   3450624   2831232   6281855 4.2BSD  8192  1024 /usr      

前述の例ではディスクラベルについて触れました。 オプション "b""e" で 計算したデータを入力します。

Figure 3-17 に表示されています。

Figure 3-17. BSD パーティションの変更

Figure 3-18 が変更されたディスクラベルを表示します。

Figure 3-18. 変更されたディスクラベル

パーティションサイズ: 最適なパーティションの数とサイズを決めるのは 一般に難しい問題で、 : コンピューターをどうつかおうかに依存します (サーバー、ワークステーション、メールサーバー...). どうして推奨するかというと、 初回のインストールでは、 sysinst が忠実に標準を作ります。 複雑なサーバーでは、 パーティション構成はより sofisticated になりますが、 ; この種の問題にも答えはあります。

その結果で良ければ、オプション "x" で、セーブして抜けます。 そして Figure 3-15 に戻り、 ここで "b" オプションを選べます。

3.4.8. 最終操作

難しい部分( BIOS パーティションと BSD パーティションの作成) が終わり、 ; インストールの残りの部分は簡単です。 ここで、ハードディスク名(標準的な名前は mydisk) を選び、確認して操作は 完了します。

註: ここまではハードディスクに変更が加えられていないので: 気が変わったら、 sysinst のメインメニューに戻ることで、ディスクへの書き込みを止めることができます。

sysinstfdisk, newfs, fsck および installboot でパーティションとファイルシステムの作成をし、 NetBSD セットのインストールへ行きます。

3.4.9. インストール元メディアの選択

インストール作業で最初にして最大に困難な部分が 終わりました。 次の段階は、インストールの種類の選択で、すべてのセットをインストールする full か、インストールするセットを選べる custom かを選べます。 もしディスク容量が足りなくなければ、 完全インストールを 推奨します。 この例では、どう言う風になるかを見るためだけに custom を 選んでみます。 すると、 Figure 3-19 になります。

Figure 3-19. インストールセットの選択

最初の3つのセットは必須で、これが無いと、 システムは動作しません。 残りのセットは、メニューオプションでインストールするかどうか 選択できます。 初期状態ではすべて選択されていて、 これは前述の full オプションと同等です。 全部選択したままにして、 "x: Exit" オプションで次のステップに進みます。

sysinst はセットの展開中に、 ファイルネームを見たいか聞いてきます。

ここで、 sysinst は NetBSD セット ( .tgzファイル) を見つける必要があり、 この情報を与える必要があります。 メニューにあるいくつかから選べます:

Figure 3-20. インストール元メディア

オプションについては、 INSTALL ドキュメントで詳しく説明されています。マウントされていない ファイルシステム (インストールカーネルが理解するタイプのもの) からインストールすることもでき、: 例えば、MS-DOS パーティションに配布物を一式 コピーして、そこからインストールすることもできます。

Figure 3-21. CD-ROM インストール

"cdrom" を選ぶと、 sysinst はデバイス名 (たとえば cd0) をたずねてきて、 そして、自動でマウントします。 CD-ROM のインストールするものがある位置が標準と違うなら、 そのパス名も入力する必要があります。 たとえば、 NetBSD 配布物が NetBSD-1.5 ディレクトリーにあるなら、 "b" オプションで パス名を変更する必要があって、 このように:

/NetBSD-1.5/i386/binary/sets      

註: US キーボード以外のキーボードを使っているなら、 "/" 文字を入力するときにそのキー配置に注意してください。 Section 3.3.1 をご覧ください。

CD-ROM デバイス名: もし、CD-ROM のデバイス名がわからなければ、 次のように調べることができます:

  1. sysinstを一時停止させる為に Ctrl-Z を押し、 シェルプロンプトに行ってください(なんとすばらしい機能でしょう!)

  2. コマンドを入力します:

    # cat /kern/msgbuf      
    CD-ROM デバイス名 (例えば cd0) を含むカーネルスタートアップメッセージが表示されるでしょう。

  3. もしスクロールが早すぎるなら、 edエディターを使うこともできます。

    # ed /kern/msgbuf      

  4. インストーラープログラムに戻るには次のコマンドで:

    # fg      

インストール作業の終わりに、 sysinst は 全部うまく行きましたと報告してきます。 "a: ok" を選択するとデバイスファイルが作られます。

Figure 3-22. おめでとうございます

インストールが終わりました。 Sysinst では、 再起動前にいくつかのシステム設定ができます。 最初に タイムゾーンの設定ができ、そして、次の画面で ルートのパスワードが設定できます。 さて、再起動の時が来ました tiem typo. "a: ok" を選択し、メインメニューに戻り、 フロッピーをドライブから抜き、 オプション "d: Reboot the computer"を選択します。