インストール後は、コンピューターはハードディスクからリブートします: 完璧なら、ログインプロンプトが数秒で現れます。 (あるいは、ハードウエアによっては数分)。 システムはまだ設定されていませんが、心配しないで: 設定は 非常に簡単で、この手引きは矛盾せず、それよりも、かなりの柔軟性を与えてくれます。 あらゆる事に関する手っ取り早い設定法がわかり、 システムの動作が勉強でき; 将来トラブルが起ったときに どこを見れば良いのかがわかります。
もし、システムが起動しなければ、ブートマネージャーが正しく インストールされていなかったか、 MBR (Master Boot Record) に問題がある可能性があります。 ブートフロッピーで再起動し、次のプロンプトが出たら
booting fd0a:netbsd - starting in ...
5秒のカウントダウンの間にスペースを押します; 起動が停止し、プロンプトがでます。 "?" キーか "help" コマンドで簡単なヘルプが出ます。
type "?" or "help" for help. > ? commands are: boot [xdNx:][filename] [-adrs] (ex. "sd0a:netbsd.old -s") ls [path] dev xd[N[x]]: help|? quit > boot wd0a:netbsd
これで、システムはフロッピーの代わりに ハードディスクから起動します。 もし、これでハードディスクから正しく起動するなら、たぶん MBR(Master Boot Record) が問題で、 fdisk -B コマンドで、ブートマネージャーのインストールや設定の変更ができます。 詳しくは Section 20.4 をご覧ください。
最初のログインには、インストールが終わった段階で ひとつしか定義されていないユーザー、スーパーユーザーの root でログインします。 password プロンプトの後には、 インストールで定めたルートのパスワードを入力します。 もし、パスワードを定めていない場合は、単に Enter を押します。
NetBSD/i386 (Amnesiac) (ttyE0) login: root password ... We recommend creating a non-root account and using su(1) for root access.(訳: ルート以外のアカウントを作り、 su(1) でルートになることを推奨します。) #
キー配列は US レイアウトになっています; 違う配列を使っているなら、 システム設定の変更の前に配列を変更するのが良いでしょう。 例えば、 italian キーボードを使うなら、 次のコマンドで:
# wsconsctl -k -w encoding=it encoding -> it
キー配列の全一覧は /sys/dev/wscons/wsksymdef.h (KB_ENCTAB をご覧ください)にありますが、 一般的な配列のいくつかは:
de |
dk |
fr |
it |
jp |
sv |
uk |
us |
no |
es |
この設定が有効なのは、再起動するまでです。 常用にするなら、 /etc/wscons.conf に
encoding it
を付け加えてください。キーボード配列をカスタマイズすることもでき; たとえば、イタリア配列キーボードに brackets, braces and tilde キャラクターを追加するには /etc/itmap.it ファイルを作って次の行を書き入れます:
keycode 12 = apostrophe question grave keycode 13 = igrave asciicircum asciitilde keycode 8 = 7 slash braceleft keycode 9 = 8 parenleft bracketleft keycode 10 = 9 parenright bracketright keycode 11 = 0 equal braceright
そして /etc/wscons.conf ファイルにこの行を追加します:
mapfile /etc/itmap.it
詳しいことは wscons.conf(5) マニュアルページに書かれています。
キーボード配列問題に関する取り組み方は他にもあり: 希望する配列をデフォルトにして新しいカーネルをコンパイルすることも できます。これは、 Chapter 7 に書かれています。
もしまだ Unix(-のような) オペレーティングシステムを 扱かったことがなければ、man コマンドがあなたの良き友達になり、 マニュアルページを表示してくれるでしょう: NetBSD マニュアルページは、あなたの見つけるものでは 一番良く、一番詳しいです。 非常に技術的ですが。
man 名称 で "名称" コマンドの マニュアルページが出て、 man -k name で、 "名称" 関係のマニュアルページ一覧が出ます。( apropos コマンドも使えます。)
man コマンドの基本を勉強するなら、次の様に:
# man man
マニュアルは 9つの節に分かれていて、コマンドの基本的な情報だけではなく いくつかの NetBSD の機能および構造も記述されています。 例えば、 hier(7) マニュアルページをみると NetBSD で使われているファイルシステムのレイアウトの詳細が 記述されています。
# man hier
ほかに似たようなページが release(7) と packages(7) です。 マニュアルの各セクションの内容についての記述は intro マニュアルページに あります。 例えば、 試しに:
# man 8 intro
Example 4-1. マニュアルのセクション
general commands (tools and utilities) 一般コマンド(ツールとユーティリティー)
system calls and error numbers システムコールとエラー番号
C libraries C ライブラリー
special files and hardware support 特殊ファイルとハードウェアーサポート
file formats ファイルフォーマット
games ゲーム
miscellaneous information pages さまざまな情報ページ
system maintenance and operation commands システム保守と操作コマンド
kernel internals カーネル内部
対象がマニュアルの複数のセクションにある場合; 特定のページをみるには、 セクション番号を man コマンドの 引数 として付けます。 たとえば、 time は セクション 1 (the time ユーザーコマンド)、 セクション 3 (C ライブラリーの time 関数 ) および セクション 9 (time システム変数)に見つかります。 time C 関数のマニュアルページが見たいなら次のように:
# man 3 time
役に立つ(available)すべてのページを見るには:
# man -a time
インストール中にルートのパスワードを決めていないなら、 (これは 1.5 以前のシステムでは不可能です) 今、決めます。 それには、 passwd コマンドを使います。
# passwd Changing local password for root. New password: Retype new password:
パスワードは入力中に画面には表示されません。 後ほど、システムへのほかのアカウントの追加で見かけます。
ルートの標準シェルは csh です。 といわれてもピンとこない人は、 (man csh) で csh の勉強をはじめるべきで: よい対話式シェルなのですが、 ( tcsh, bash や NetBSD /bin/sh シェルですら持っている) 履歴編集機能が不十分です。 使うシェルを変更したければ、 chsh を使います。
註: 現在の設定を変更するのに chsh は環境変数 EDITOR で決められたエディター (もしくはこの変数が定義されていない場合は vi )を起動します。
NetBSD インストール後に利用可能なシェルは:
csh |
sh |
ksh |
新しいシェルは、次回ログインしたときに有効になります。
システムにほかのシェルをインストールすることもでき、 tcsh, bash, zsh やほかのシェル を使いたければパッケージコレクションにあります (これはあとで調べましょう)。
ここで、シェルの初期化ファイル (.chsrc, .login, ... 選んだシェルの種類に依存) を 作っておくとよいでしょう。
NetBSD や UNIX システムのすべては、システム時刻に 世界標準時(UTC)を基本に使い、 システム時計はこれに設定します。 しかし、設定を現地時刻のままにしておきたい時 (例えば、 Windows がインストールされていて、デュアルブートしたい時 )は、 rtc_offset システム変数を変更して NetBSD に通知します。 カーネルコンフィグレーションファイルを編集して、カーネルを再コンパイルするか、 現存するカーネルに直接パッチを当てます (新しい時刻は 再起動後に初めて有効になります): これは思ったより簡単です。 例えば:
# gdb --write /netbsd GNU gdb 4.17 Copyright 1998 Free Software Foundation, Inc. ... This GDB was configured as "i386--netbsd"...(no debugging symbols found)... (gdb) set rtc_offset=-60 (gdb) quit
ここで、数値 (-60) は、UTC(イギリス)より西側を正にとって、何分 差なのかという値です。(訳註:日本は東に9時間なので -540 です)
rtc_offset 変数の現在の設定を表示するなら:
# sysctl kern.rtc_offset kern.rtc_offset = -60
これで、カーネルは PC 時計を UTC システム時刻に変更する方法を 知りました。が、システムに現地時間のタイムゾーンを設定する必要が 残っています。(この タイムゾーンは /usr/share/zoneinfo/ で見つかります。) もし、インストール中に設定していれば、次のステップに行って構いません。 (けど、正しく設定されているかチェックしておけば、 より良いでしょう。) 例えば、 Italy では:
# rm -f /etc/localtime # ln -s /usr/share/zoneinfo/Europe/Rome /etc/localtime
全部正しく設定すれば、 次のコマンドで時刻を変更できます:
# date [[[[[cc]yy]mm]dd]hh]mm
NetBSD では、システム起動時にシステム設定に /etc/rc.conf を使い: このファイルは、 システムが起動するときに実行するものを決めます。 このファイルを理解することは非常に重要なことです。
NetBSD 1.5 から、 rc.conf の管理法が変わりました。 以前のバージョンでは、標準値がすべて /etc/rc.conf に有って、このファイルを直接変更することを想定していましたが; バージョン 1.5 では /etc/defaults/rc.conf ファイルが導入され、 標準値がこれに入るようになりました。 標準値を変更するには、ユーザーは新しい値を /etc/rc.conf に書き: これで、 /etc/defaults/rc.conf (これには変更されていないものが書かれたままです)の定義が 上書きされます。
このファイルを理解することはとても重要です。 マニュアルページにはオプションすべてについての 詳しい記述があります。
# man rc.conf
インストーラーの sysinst ですでに 基本的な設定をしています。 次の行があることを確認してください:
rc_configured=YES wscons=YES
もし "rc_configured" が YES でなければ、 OS は マルチユーザーモードではなくシングルユーザーモードで起動します。 "wscons" はコンソールドライバーの設定です。 プリンターを使いたければ、プリントスプーラーをアクティブにする 次の命令をこのファイルに加えてください。
lpd=YES
ホスト名をシステムに教えるときが来ました; 2通りの簡単な方法が あります。 ホストがネットワークに属するなら、ネットワークとホスト名を システム管理者に尋ねてください; (家庭用マシンのような)単独機利用なら 選択は自由です。 この例では FQDN は ape.insetti.net です。 より詳しいことは Chapter 9 を読んでください。
ホスト名を設定する 最初の方法は /etc/rc.conf ファイルに次の行を追加することです。
hostname=ape.insetti.net
もうひとつの方法はホスト名を /etc/myname ファイルに書くことです。 例えば:
# echo ape.insetti.net > /etc/myname
この最初の セッションでやったことは
キーボードの設定
ルートのパスワードの変更
ルートのシェルの変更 (任意)
システム時刻と RTC オフセットの変更
現地時間の定義
/etc/rc.conf の編集
仮想コンソールの有効化
さて、システムを再起動する時が来ました。次のコマンドで:
# reboot